「基準値の数字が多すぎて全然覚えられない…」
「試験本番で上限と下限を混同してしまった」そんな経験はありませんか?
検査データの基準値は、必修問題で毎年必ずといっていいほど出題される超重要テーマです。
しかし、数値の種類が膨大なうえに「以上・以下・未満・超」のひっかけが多く、苦手意識を持つ学生さんが非常に多い分野でもあります。
この記事を読むことで、以下のことがわかるようになります。
- 必修問題に頻出の検査データ基準値を一覧で整理できる
- 「以上/以下」「正常/異常」のひっかけパターンを見抜けるようになる
- 臨床現場での活用イメージをつかみ、数字が”意味のある知識”として定着する
検査データ基準値の基本を整理
検査データの基準値とは、健康な成人集団の約95%が該当する数値範囲のことです。
統計学的には平均値±2標準偏差の範囲を指します。
基準値を外れた数値が出たとき、看護師はいち早く「正常か・異常か」を判断し、医師への報告や緊急対応を行う必要があります。つまり、基準値の暗記は患者の命を守る判断力の土台になるのです。

血液検査の基準値一覧
血球系
| 検査項目 | 基準値 | 覚え方のポイント |
|---|---|---|
| 赤血球数(RBC) | 男性:約430〜570万/μL、女性:約380〜500万/μL | 男性の方が多い |
| ヘモグロビン(Hb) | 男性:13.5〜17.5 g/dL、女性:11.5〜15.0 g/dL | 12未満で貧血を疑う |
| ヘマトクリット(Ht) | 男性:39〜52%、女性:33〜45% | Hbの約3倍が目安 |
| 白血球数(WBC) | 3,500〜9,000/μL(3,500〜9,000/mm³) | 1万超えで感染・炎症を疑う |
| 血小板数(PLT) | 15〜40万/μL(15〜40×10⁴/μL) | 10万未満で出血傾向 |
生化学・電解質系
| 検査項目 | 基準値 | 臨床的意義 |
|---|---|---|
| 血糖(空腹時) | 70〜109 mg/dL | 126以上で糖尿病を疑う(2回以上) |
| HbA1c | 4.6〜6.2% | 過去1〜2か月の平均血糖を反映 |
| Na(ナトリウム) | 135〜145 mEq/L | 低下→低Na血症(脳浮腫のリスク) |
| K(カリウム) | 3.5〜5.0 mEq/L | 3.5未満→低K(不整脈リスク) |
| Cl(クロール) | 98〜108 mEq/L | NaとClは連動して変動しやすい |
| Ca(カルシウム) | 8.5〜10.2 mg/dL | 低下→テタニー、上昇→腎結石 |
| 総蛋白(TP) | 6.5〜8.0 g/dL | 低値→栄養不足・肝障害 |
| アルブミン(Alb) | 3.8〜5.3 g/dL | 3.5未満→低栄養・浮腫リスク |
| 尿素窒素(BUN) | 8〜20 mg/dL | 上昇→腎機能低下・脱水 |
| クレアチニン(Cr) | 男性:0.6〜1.1 mg/dL、女性:0.4〜0.8 mg/dL | 腎機能の指標(筋肉量に依存) |
| 尿酸(UA) | 男性:3.7〜7.0 mg/dL、女性:2.5〜7.0 mg/dL | 7.0超→高尿酸血症(痛風リスク) |
| 総コレステロール | 130〜219 mg/dL | 240以上→高コレステロール血症 |
| 中性脂肪(TG) | 50〜149 mg/dL | 150以上→高TG血症 |
肝機能・酵素系
| 検査項目 | 基準値 | 臨床的意義 |
|---|---|---|
| AST(GOT) | 10〜40 IU/L | 肝臓・心臓・筋肉の障害で上昇 |
| ALT(GPT) | 5〜45 IU/L | 肝細胞障害でASTより著明に上昇 |
| γ-GTP | 男性:70以下、女性:30以下 IU/L | アルコール・薬物で上昇 |
| 総ビリルビン(T-Bil) | 0.2〜1.2 mg/dL | 2.0以上で黄疸が出現 |
| CRP(C反応性蛋白) | 0.3 mg/dL以下 | 炎症・感染で急速に上昇 |
尿検査・バイタルサインの基準値
尿検査
| 検査項目 | 基準値 | ポイント |
|---|---|---|
| 尿pH | 4.6〜8.0(平均約6.0) | 酸性尿→肉食、アルカリ尿→野菜食・UTI |
| 尿比重 | 1.006〜1.030 | 低→多尿・尿崩症、高→脱水・糖尿病 |
| 尿蛋白 | (−)陰性 | 陽性→腎炎・ネフローゼ症候群 |
| 尿糖 | (−)陰性 | 血糖約160〜180 mg/dLを超えると陽性 |
| 尿潜血 | (−)陰性 | 陽性→腎炎・膀胱炎・結石 |
| 1日尿量 | 1,000〜2,000 mL | 400mL未満→乏尿、100mL未満→無尿 |
バイタルサイン
| 項目 | 正常範囲 | 異常の定義 |
|---|---|---|
| 体温(腋窩) | 36.0〜37.0℃ | 37.5℃以上→微熱、38.0℃以上→発熱 |
| 脈拍 | 60〜100回/分 | 60未満→徐脈、100超→頻脈 |
| 呼吸数 | 16〜20回/分 | 12未満→徐呼吸、24以上→頻呼吸 |
| 血圧(収縮期/拡張期) | 収縮期120未満/拡張期80未満 | 140/90以上→高血圧(JSH2019) |
| SpO₂(動脈血酸素飽和度) | 95〜100% | 90%未満→呼吸不全(要緊急対応) |
動脈血ガス分析(ABG)の基準値
| 項目 | 基準値 | 意義 |
|---|---|---|
| pH | 7.35〜7.45 | 7.35未満→アシドーシス、7.45超→アルカローシス |
| PaO₂ | 80〜100 mmHg | 60未満→呼吸不全 |
| PaCO₂ | 35〜45 mmHg | 45超→CO₂貯留(呼吸性アシドーシス) |
| HCO₃⁻ | 22〜26 mEq/L | 代謝性変化の指標 |
| BE(塩基過剰) | −2〜+2 mEq/L | 代謝性アシドーシス/アルカローシスの判定 |
国家試験で狙われる「3つの鉄板ポイント」
POINT1:「以上」「以下」「未満」の入れ替えひっかけに注意!
必修問題で最も多いひっかけパターンが、境界値の表現を変えるものです。
例えば「高血圧の診断基準」に関する問題では、以下のような選択肢が登場します。
- (正しい)収縮期血圧が140 mmHg以上
- (ひっかけ)収縮期血圧が140 mmHg超
- (ひっかけ)収縮期血圧が130 mmHg以上
「以上」は境界値を含み、「超」「未満」は含みません。
また、正常高値血圧(130〜139/80〜89)と高血圧(140/90以上)を混同させる問題も頻出です。
同様に、HbA1cの糖尿病診断基準(6.5%以上)も「6.0%以上」「7.0%以上」に差し替えられることがあります。
常に「どちらを含むか」を意識しましょう。
POINT2:数字を語呂合わせで定着させよう!
無機質な数字も、語呂合わせで一気に覚えやすくなります。以下を活用してください。
【血糖の語呂合わせ】
「空腹(くうふく)は いな(1)い(1)よ(4)く(9)」→ 空腹時血糖の上限:109 mg/dL
【カリウムの語呂合わせ】
「サンゴ礁(3.5〜5.0)の海を守れ、K(カリウム)!」→ 正常値は3.5〜5.0 mEq/L
【白血球の語呂合わせ】
「さあ(3)行こう(9)、白血球!」→ 白血球の正常範囲は3,500〜9,000/μL(3→9千)
【SpO₂の語呂合わせ】
「救急(9)を呼ぶのは90%未満」→ SpO₂ 90%未満で呼吸不全
POINT3:紛らわしい類似値を並べて比較する
試験で特に混同しやすいペアを整理しておきます。
| 比較項目 | 正常値 | 異常の閾値 | 間違えやすいポイント |
|---|---|---|---|
| Hb(女性) | 11.5〜15.0 g/dL | 12 g/dL未満で貧血(WHOの定義) | 男性(13.5未満)と混同しない |
| BUN | 8〜20 mg/dL | 20超で上昇を疑う | クレアチニンと同時に上昇→腎不全 |
| Cr(女性) | 0.4〜0.8 mg/dL | 0.8超で異常 | 男性(1.1以下)より低いことを覚える |
| 総ビリルビン | 0.2〜1.2 mg/dL | 2.0以上で黄疸 | 1.5くらいで出るとひっかけに使われる |
| 尿量(乏尿) | 1,000〜2,000 mL/日 | 400 mL/日未満で乏尿 | 「500未満」とひっかける問題あり |
| 血圧(高血圧) | 120/80未満(正常) | 140/90以上で高血圧 | 「130以上」と混同させるひっかけ頻出 |
実習や臨床での活用シーン
検査データの基準値は、試験だけでなく実習・就職後の現場でも毎日使う知識です。
以下のシーンで直結します。
実習中の与薬・観察での活用
ジゴキシン(強心薬)投与前にK値を確認します。
低カリウム(3.5未満)ではジゴキシン中毒のリスクが高まるため、投与前に必ず血液データを確認するのが看護師の役割です。
インスリン投与前後には血糖を測定します。
70 mg/dL未満の低血糖ではインスリン投与を中止し、ブドウ糖の補給が必要です。
術後・急性期管理での活用
術後は90%未満になると要緊急対応です。
パルスオキシメータが鳴ったとき、「正常かどうか」を瞬時に判断できることが求められます。
術後感染のサインとして、WBCが10,000/μL超・CRPが0.3 mg/dL超の場合は感染兆候を疑い、医師への報告を行います。
高齢者ケアでの活用
3.5 g/dL未満は低栄養の指標です。
褥瘡の発生リスクが高まるため、栄養管理や体位変換の計画立案に活用します。
高齢者は筋肉量が少ないためCr値が低く出がちですが、それでも上昇傾向にある場合は腎機能低下を疑います。
【1分チェック】必修過去問に挑戦!
問題:第113回看護師国家試験 必修問題 午前19問(類題)
成人の正常な血圧はどれか。
- 収縮期血圧 100 mmHg、拡張期血圧 60 mmHg
- 収縮期血圧 120 mmHg、拡張期血圧 80 mmHg
- 収縮期血圧 140 mmHg、拡張期血圧 90 mmHg
- 収縮期血圧 160 mmHg、拡張期血圧 100 mmHg
正解:2番
解説:
- 1番:収縮期100・拡張期60は「低血圧」の範囲(収縮期90未満が低血圧の目安)に近い値ですが、ここでは正常より低め。正常域とはいえず、問題としては「最も正常に近い」2番が正解。
- 2番(正解):日本高血圧学会(JSH2019)では、収縮期120 mmHg未満かつ拡張期80 mmHg未満が「正常血圧」です。120/80はその上限ギリギリで「正常高値」に近いですが、選択肢の中では最も正常値に該当します。
- 3番:140/90以上は高血圧(Ⅰ度)の診断基準です。「以上」か「超」かに注意。
- 4番:160/100以上は高血圧Ⅱ度に相当します。
「140/90は正常範囲内では?」と迷う学生が多いですが、140/90は高血圧の診断基準そのものです。
「以上」であることを忘れずに。
まとめ
今回の記事で学んだ、絶対に忘れてはいけない必修頻出の基準値を最終確認しましょう。
- Hb(ヘモグロビン):男性 13.5〜17.5 g/dL、女性 11.5〜15.0 g/dL(12未満→貧血)
- 白血球(WBC):3,500〜9,000/μL(1万超→感染・炎症を疑う)
- 血小板(PLT):15〜40万/μL(10万未満→出血傾向)
- 空腹時血糖:70〜109 mg/dL(126以上→糖尿病を疑う)
- Na:135〜145 mEq/L、K:3.5〜5.0 mEq/L
- 総ビリルビン:0.2〜1.2 mg/dL(2.0以上→黄疸)
- CRP:0.3 mg/dL以下(上昇→炎症・感染)
- 血圧:正常は収縮期120未満/拡張期80未満、140/90以上→高血圧
- SpO₂:95〜100%(90%未満→呼吸不全・緊急対応)
- 尿量:1,000〜2,000 mL/日(400未満→乏尿、100未満→無尿)
- pH(動脈血):7.35〜7.45(7.35未満→アシドーシス)
数値を「ただの暗記」にせず、「この数値を外れたら患者にどんな危険があるのか」を一緒に覚えることが、本番での正答率アップと現場での即戦力につながります。


