個人情報保護法

医療安全・事故防止
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看護師国家試験の「個人情報保護」、どの法律が何を規定しているのか混乱していませんか?

「個人情報保護法」「守秘義務」「プライバシー権」など、似たような概念が並んでいて、どれがどの試験で問われるのかわからない…という方も多いはずです。

この記事を読めば、以下のことが整理できます。

  • 個人情報保護法の定義と、看護師が押さえるべき数値・基準
  • 国試で狙われる「ひっかけパターン」3つ
  • 守秘義務・プライバシーとの違い
  • 実習・臨床での具体的な活用場面
  • 過去問で即実力チェック

個人情報保護の基本を整理

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法) は、2003年(平成15年)に制定され、2005年(平成17年)に全面施行されました。

その後、2017年(平成29年)、2022年(令和4年)と大きく改正されています。

この法律の目的は、個人の権利・利益を保護しながら、個人情報の有用性に配慮することです。

「個人情報を守ることと、適切に活用することのバランスをとる」法律です。

個人情報の定義

用語定義
個人情報生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの(氏名・生年月日・住所・顔写真など)
要配慮個人情報病歴・障害・犯罪歴など、不当な差別や偏見が生じうる情報
個人データ個人情報データベース等を構成する個人情報
保有個人データ事業者が開示・訂正・削除などの権限を持つ個人データ

医療機関が扱う「要配慮個人情報」

医療現場では特に以下が要配慮個人情報に該当します。

取得には原則として本人の同意が必要です。

  • 病歴・診断名
  • 障害(身体・知的・精神)
  • 健康診断の結果
  • 保健指導の内容
  • 犯罪歴・犯罪被害の経歴

個人情報取扱事業者の義務

2017年の改正で取り扱う個人情報の件数にかかわらずすべての事業者が対象となりました(改正前は5,000件超が対象)。

義務内容
利用目的の特定・通知取得時に利用目的を明示する
適正取得不正な手段で取得しない
安全管理措置漏洩・滅失・毀損を防ぐ
第三者提供の制限原則、本人同意なしに第三者へ提供しない
開示・訂正・削除への対応本人からの請求に応じる

国家試験で狙われる「3つの鉄板ポイント」

POINT1:「第三者提供の例外」ここが狙われる!

個人情報は原則として本人の同意なしに第三者へ提供できません

しかし、試験では例外規定が頻出です。

以下の場合は、本人同意なしでも第三者提供が認められます。

例外ケース具体例
法令に基づく場合感染症の届出、警察からの照会
人の生命・身体・財産の保護に必要な場合意識不明の患者の家族への連絡
公衆衛生・児童の健全育成に必要な場合虐待の通報
国の機関等への協力統計調査への回答

ひっかけパターン例

「救急搬送された意識不明患者の情報を家族に伝えるには、必ず本人の同意が必要である」→ 誤り

本人が同意できない状況で、生命保護に必要な場合は例外として認められます

「必ず同意が必要」という表現は要注意です。

POINT2:守秘義務・プライバシーとの違いを語呂で整理

「個人情報保護法」「守秘義務」「プライバシー権」は根拠となる法律が異なります

ここを混同すると確実に失点します。

概念根拠法対象
個人情報の保護個人情報保護法すべての事業者・個人
守秘義務保健師助産師看護師法(第42条の2)看護師・保健師・助産師
医師の守秘義務刑法第134条医師・薬剤師など
プライバシー権憲法・民法(判例)すべての人

守秘義務の語呂合わせ

看護師の守秘義務は「保助看(ほじょかん)42条」

保助看の42条で、看護師は秘密を守る!42(しに)にもちゃんと守る!」

保健師助産師看護師法 第42条の2 は、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定めています。

正当な理由がある場合を除き、退職後も適用されます。「退職したら義務はない」は誤りです。

POINT3:間違いやすい「匿名加工情報」と「仮名加工情報」の比較

2022年(令和4年)改正で追加・整備された概念で、近年の国試でも意識が必要です。

種類定義本人への連絡第三者提供
匿名加工情報特定の個人を識別できないよう加工した情報不要同意なしで可能
仮名加工情報他の情報と照合しなければ識別できないよう加工した情報原則不要原則不可(同意必要)

ひっかけパターン例

「匿名加工情報は第三者に提供する際に本人の同意が必要である」→ 誤り

匿名加工情報は同意不要で提供できますが、仮名加工情報は第三者提供に同意が必要です。

この逆転に注意してください。

実習や臨床での活用シーン

実習記録・レポートの取り扱い

看護実習で最も身近な個人情報保護の場面です。

  • 実習記録には患者名をイニシャルや記号に置き換える
  • 記録物をコンビニのコピー機に忘れない(情報漏洩)
  • SNSへの投稿は一切禁止(患者が特定されなくてもアウト)

「個人が特定されない情報であれば、SNS投稿は許可される」→ 誤り

状況や文脈から特定される可能性があるため、原則として患者に関する情報のSNS発信はすべて不適切です。

病室での面会・電話応対

  • 「〇〇さんは入院していますか?」という外部からの問い合わせには、原則として本人の同意がなければ答えられない
  • 患者が面会を望まない場合は「お調べできません」と対応する
  • 家族であっても、患者本人の意思が最優先

診療情報の開示

患者(または遺族)から診療情報の開示を求められた場合は、診療情報提供に関するガイドライン(厚生労働省)に基づいて対応します。

  • 原則として本人の請求に応じる義務がある
  • 開示によって本人の心身に著しい影響がある場合は例外的に開示を控えることも可能
  • 遺族への開示は、患者本人が生前に拒否していた場合は制限される

【1分チェック】必修過去問に挑戦!

問題: (第113回看護師国家試験 必修問題 類題)

看護師の守秘義務について正しいのはどれか。

  1. 守秘義務は在職中のみ適用される。
  2. 患者の同意があれば、いかなる場合も情報提供できる。
  3. 業務上知り得た秘密は、正当な理由がない限り漏らしてはならない。
  4. 個人情報保護法によって規定されている。

正解:3番

選択肢1(誤り): 保健師助産師看護師法第42条の2は、退職後も適用されます。「在職中のみ」は典型的な誤りの選択肢です。

選択肢2(誤り): 患者の同意があっても、目的外利用や不当な第三者提供は認められません。「いかなる場合も」という表現は要注意です。

選択肢3(正しい): 保健師助産師看護師法第42条の2の規定そのものです。「正当な理由がある場合(法令に基づく届出など)は例外」という点も覚えておきましょう。

選択肢4(誤り): 看護師の守秘義務の根拠は個人情報保護法ではなく、保健師助産師看護師法です。この混同が最も多い誤答パターンです。

まとめ

試験直前に確認したい「絶対に忘れてはいけない」ポイントをまとめます。

  • 個人情報保護法:2003年制定、2022年改正。医療機関も対象。件数にかかわらずすべての事業者に適用(2017年改正〜)
  • 要配慮個人情報:病歴・障害・健診結果など。取得には原則として本人の同意が必要
  • 第三者提供の例外:法令・生命保護・公衆衛生・国の機関への協力の場合は、本人同意なしで可
  • 看護師の守秘義務の根拠:個人情報保護法ではなく保健師助産師看護師法第42条の2
  • 守秘義務は退職後も適用される(「在職中のみ」は誤り)
  • 匿名加工情報:第三者提供に同意不要
  • 仮名加工情報:第三者提供に原則同意必要
  • SNS投稿は「特定されなくても」原則として不適切
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