看護師の業務範囲

必修問題対策
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看護師国家試験の必修問題で「業務範囲って結局どこまで?」と混乱していませんか?

「医師の指示がないとダメなのか」「これは看護師単独でできるのか」など、似たような選択肢が並ぶひっかけ問題は、毎年必修の得点を削る大きな落とし穴です。

この記事を読めば、以下のことが整理できます。

  • 看護師法に定められた業務の定義が正確にわかる
  • 医師の指示が必要な業務・不要な業務の線引きがはっきりする
  • 保健師・助産師との業務の違いが比較表で整理できる
  • ひっかけ問題の典型パターンを事前に知ることができる
  • 過去問1問で知識の定着を確認できる

看護師の業務範囲の基本を整理

看護師の業務は保健師助産師看護師法(保助看法)によって規定されています。

試験では「看護師法」と書かれることもありますが、正式名称は保健師助産師看護師法です。

ここは確実に押さえましょう。

保助看法 第5条(看護師の定義)

「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話、又は診療の補助を行うことを業とする者」

この2本柱が看護師業務のすべての根拠です。

保健師助産師看護師法の詳細については、以下の記事で詳しく説明しています。

「療養上の世話」と「診療の補助」の違い

分類主な内容医師の指示
療養上の世話食事介助、体位変換、清拭、口腔ケア、排泄援助、環境整備、睡眠の援助など不要(看護師が自律的に判断・実施)
診療の補助注射、採血、点滴管理、吸引、カテーテル挿入、投薬、検査介助など必要(医師の指示のもとで実施)

「療養上の世話」は看護師の自律的業務です。患者の生活を支えるケアは看護師が主体的に行えます。

一方「診療の補助」は医療行為の補助であり、必ず医師の指示が必要になります。

保健師・助産師・看護師の業務比較

試験では、各職種の業務範囲を混同させるひっかけがよく出ます。以下の表で整理しましょう。

職種独自の業務看護業務との関係
保健師地域住民への保健指導・健康教育看護師業務も行える
助産師助産(分娩介助)・妊婦の保健指導看護師業務も行える
看護師療養上の世話・診療の補助助産・保健指導は行えない
准看護師看護師と同様(ただし医師・歯科医師・看護師の指示のもと)自律的判断は制限あり

重要な違い

  • 助産行為(分娩介助)は助産師の独占業務。看護師は行えません。
  • 准看護師は「医師・歯科医師・看護師の指示のもと」業務を行う点が看護師と異なります。

特定行為研修制度も押さえよう

2015年の保助看法改正により、特定行為研修を修了した看護師は、医師が作成した「手順書」に基づき、医師の指示なく一定の医療行為(特定行為)を実施できるようになりました。

項目内容
根拠法保健師助産師看護師法 第37条の2
目的在宅医療・地域医療の推進・タスクシフト
特定行為の例気管カニューレの交換、褥瘡の処置、持続点滴中の薬剤の投与量調整など
条件厚生労働大臣指定の研修機関で研修修了

「特定行為=医師の指示が全くいらない」という誤解に注意!

あくまで手順書(医師が事前に作成)に基づくものです。

国家試験で狙われる「3つの鉄板ポイント」

POINT1:「診療の補助」の医師指示の有無がひっかけの核心

必修問題で最も多いひっかけが「医師の指示が必要かどうか」の入れ替えです。

よくあるひっかけ選択肢の例

ひっかけ選択肢(誤)正しい知識
「清拭は医師の指示のもとで行う」清拭は療養上の世話→指示不要
「注射は看護師が自律的に判断して実施できる」注射は診療の補助→医師の指示が必要
「准看護師は看護師の指示がなくても業務できる」准看護師は看護師の指示のもとで業務する

覚え方

「患者の日常生活を支えるケア=療養上の世話=指示不要」、「医療行為の手伝い=診療の補助=指示必要」と分けて考えましょう。

POINT2:語呂合わせで保助看法の条文番号を攻略

試験では「〇条に規定されている」という条文番号を問う問題も出ます。

以下の語呂合わせで覚えましょう。

条文内容語呂合わせ
第5条看護師の定義(5)リラも看護する!看護師の定義は5条」
第6条准看護師の定義(6)くでもない?でも准看は6条」
第31条業務独占規定(看護師でない者は業務できない)サイ(31)コロ振っても業務独占」
第37条診療機械使用・医薬品投与の制限サ(3)ナ(7)ダで汗流す前に医師の指示を確認」

業務独占と名称独占の違いも必出!

  • 業務独占: 資格がない者はその業務自体を行えない(例:看護師業務は看護師のみ)
  • 名称独占: 資格がない者はその名称を使えないが、業務自体は行える場合がある

看護師は業務独占かつ名称独占の両方に該当します。

POINT3:「助産師にしかできないこと」と「看護師もできること」の比較

助産師・保健師との業務の重複・非重複は混同しやすい最頻出ポイントです。

看護師が行えない業務(助産師の独占業務)

  • 正常分娩の介助(助産)
  • 妊産褥婦への保健指導(助産師の業務として行う場合)

看護師も行える業務(助産師も当然行える)

  • 療養上の世話(清拭、食事、排泄援助など)
  • 診療の補助(採血、注射、吸引など)

まとめ

業務内容看護師助産師保健師
療養上の世話
診療の補助
分娩介助(助産)××
保健指導(地域)△(療養指導は可)

「助産師は看護業務を行えない」

誤り。助産師・保健師は看護師業務も行えます。

実習や臨床での活用シーン

国家試験の知識は、臨床・実習の現場でそのまま活きます。

以下の場面を想像しながら覚えると記憶に定着しやすくなります。

場面①:実習中に「これ、やっていいの?」と迷ったとき

実習生が体位変換や口腔ケアを行う際、教員や指導看護師から「これは療養上の世話だから、根拠を持って実施しなさい」と言われた経験はありませんか?

これはまさに保助看法の業務区分が臨床に反映されている場面です。

  • 清拭・体位変換・食事介助 → 療養上の世話 → 看護師が主体的に計画・実施
  • 採血・点滴管理 → 診療の補助 → 必ず指示受けの確認が必要

場面②:指示受けのルール

病棟では「口頭指示」「口頭指示の後に書面で確認」など、病院によってルールが異なりますが、診療の補助には必ず医師の指示が必要という大原則は共通です。

緊急時であっても、後から指示を文書で確認するプロセスが求められます。

場面③:在宅・訪問看護での特定行為

訪問看護の現場では、医師がすぐにいない状況で高度な処置が必要になる場面があります。

特定行為研修を修了した訪問看護師が、手順書に基づいて褥瘡の処置や気管カニューレ交換を行うのは、まさに改正保助看法の活用例です。

試験の知識が「なぜその制度があるか」の理解に直結します。

【1分チェック】必修過去問に挑戦!

問題:第112回看護師国家試験・必修問題(類題)

看護師の業務について正しいのはどれか。

  1. 療養上の世話を行うには医師の指示が必要である。
  2. 准看護師は看護師の指示がなくても業務を行える。
  3. 助産師は看護師の業務を行うことができる。
  4. 看護師は正常分娩の介助を行うことができる。

正解:3番

選択肢1(誤り): 療養上の世話は看護師の自律的業務であり、医師の指示は不要です。食事・清拭・体位変換などが該当します。「指示が必要」という選択肢は最もよく出るひっかけです。

選択肢2(誤り): 准看護師が業務を行うには、医師・歯科医師・看護師の指示が必要です(保助看法第6条)。看護師と異なり自律的な判断では動けません。

選択肢3(正解): 助産師・保健師は看護師の業務(療養上の世話・診療の補助)を行うことができます。上位資格は下位資格の業務を包含するというイメージで覚えましょう。

選択肢4(誤り): 正常分娩の介助(助産)は助産師の独占業務です。看護師がこれを行うことは法律上認められていません。

まとめ

この記事で学んだ「絶対に忘れてはいけないポイント」を最終確認しましょう。

  • 看護師の業務根拠は保健師助産師看護師法(保助看法)
  • 業務は「療養上の世話(医師の指示不要)」と「診療の補助(医師の指示必要)」の2本柱
  • 准看護師は「医師・歯科医師・看護師の指示のもと」業務を行う
  • 助産行為(分娩介助)は助産師の独占業務→看護師は不可
  • 助産師・保健師は看護師業務も行える(上位が下位を包含)
  • 特定行為研修修了者は医師の手順書に基づき特定行為が可能(2015年改正)
  • 看護師は業務独占かつ名称独占の両方に該当する
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